自社株買いの効果とメリットについて
自社株買いはなぜ株価上昇につながるのでしょうか?
まず1株利益EPSが増えることがあげられます。。企業が取得した自社株は
1株利益の計算に使う株式数に加えないため、同じ最終利益でも1株利益が
増える形になります。
次に投資家よりも情報を多く持っている企業が、現在の株価は本来の価値
よりも低いとみている、というアピールになります。自社株買いが始まれば
市場で流通する株式数が減り、需給改善にもつながります。
今はROE重視の思考
注目度が高まっている自己資本利益率(ROE)の改善効果もあります。
ROEは企業が稼いだ利益を株主資本で割って計算する。取得した自社株分
は株主資本を減らす効果があるため、同じ利益額でもROEは改善することに
なります。
株価上昇の材料になる自社株買いだが、いったいどのような企業が実施
するのか予想すると「財務体質が健全で手元資金が厚く、かつROE
の改善余地が大きいこと」などを挙げられます。要はキャッシュリッチで
かつ資本効率の改善が必要な企業が対象となるということです。
加えて自社株買いの要求が強いとみられる外国人株主の比率が高い、
あるいは金融機関が売却対象にしている持ち合い株の企業などは、
自社株買いに踏み切る可能性が高いとも考えられます。
自社株買いを発表した後でも株価上昇が長引くケースもあるといいます。
傾向としては「初めての自社株買いや、時価総額に対する取得金額の比率が
高い自社株買い、1株当たりの取得金額(取得金額を取得株数で割った数値)
が発表時点の株価を上回る場合が考えられます。
本来は設備投資やM&Aに投資すべき資金
もっとも、本来は設備やM&A(合併・買収)など成長投資に
資金を回して利益を増やすのが企業の姿です。それが成長性の評価
となり株価上昇につながります。自社株買いはあくまで資金を投資
に生かせない場合の次善の策にすぎません。自社株買い=買い材料
ではなく、各企業にどのような資金活用が有効なのか、内容を吟味する
必要があるようです。