戸田奈津子の映画字幕は翻訳それとも誤訳?
日本を代表する映画字幕翻訳家といってもいい戸田奈津子さん
ですが、かねてから実際の英語と字幕が離れすぎているとの
指摘があります。
そこには、戸田奈津子さんの天才的才能ともいえる、映画と
一瞬にして頭にはいる天才的映画字幕の技術があったのです。
映画字幕で一番大事なことは、一瞬にして字幕が目に入り
頭に入ることです。
別の言い方をすれば、映画のシーンとセリフがマッチすることと
字数が限りなく少ないことがもっとも大事です。
戸田奈津子さんの映画字幕は、天才的ともいえる端的な日本語の
表現に姿をかえていることです。
たとえば、直訳すると”知らなかった”が”初耳だ”にかわります。
これは誤訳ではなく、日本語のボキャボラリの豊さを示して
います。
またターミネータでの最後のセリフ、”また会おうぜ、ベービー”が直訳ですが
字幕では”地獄で会おうぜ、ベービー” に変わっています。
ターミネータのシーンでは、戸田奈津子さん的字幕のほうがぴったり
ときます。
こういったところは、誤訳とか翻訳としては、ルール違反と指摘する人が
いますが、字幕という文化は、日本独自のもので、映画のシーンと
字幕がフィットするためのひとつの技術です。
こういった発想が一瞬で思いつく、戸田奈津子さんは、やはり天才なのか
もしれません。