IFRSとは?従来の日本基準との違いと企業が導入す理由を簡単に解説
従来の日本の会計基準とIFRSとの最大の相違点は、日本基準の損益計算書(P/L)
重視に対し、IFRSは貸借対照表(バランスシート)を重視することです。
IFRSは原則主義
難しく言えば日本基準は規則主義、IFRSは原則主義に立ちます。
日本基準は売上や損益の増減に注目するが、IFRSはバランスシートの
健全性に注目します。そのため、日本基準からIFRSに移行するには、
システムも会計担当者の頭の中も、企業会計に対する根本的な
考え方を切り替える必要があります。
「のれん代」を計上しなくてもいいとか、持分法適用会社の範囲が
変わるとか、非上場株式の評価方法が違うとか、優先株を資本ではなく
負債に計上するといった枝葉末節の部分とその周辺だけ手直しすれば
いいのではないから、コストも時間も労力もかかります。そのため財務や
人員の余裕がない企業は、必要性は感じても導入に二の足を踏んでしまっています。
IFRSはB/S重視
IFRSの大きな特徴の一つであるB/S(貸借対照表=財政状態計
算書)重視の資産・負債アプローチは、これまでの日本の会計基
準のP/L(損益計算書=包括利益計算書)重視とは利益の捉え
方が異なり、注意が必要です。資産・負債アプローチでは利益の
概念を、期末と期初の純資産の差額である『包括利益』としてい
ます。もちろん、IFRSがB/Sを重視するからといってP/Lが無視
されるわけではありません。しかし、従来の日本の会計基準が重
視した『期間損益計算』やそれに付随する『当期純利益』の概念
には重きが置かれなくなったといわれています。
IFRSでは繰り延べ資産は存在しない
IFRSでは『定義』を重視しており、資産、負債、持分、それぞれを
定義しています。期間損益計算と関連する費用収益対応原則に
ついても、資産・負債の定義に重点が置かれるため、費用収益対
応原則によって計上される繰延資産は資産の定義に合わないの
で計上されなくなります。
公正価値は資産・負債アプローチと並ぶIFRSの特徴です
資産・負債アプローチの目的が企業価値だとすれば、しかるべき資
産・負債は時価で評価する必要が生じます。そのためIFRSは公正価値評価
を大幅に取り入れています。