管理会計における限界利益率の重要性

管理会計は経営方針を決める際に重要な役割をはたしています。

具体的に、管理会計はどのような場面で活用されるものなのだろうか?

「身近なのは価格の話です。ある商品の利益を上げることを考える際、

1)価格を上げること

2)価格はそのままで原価を下げること

3)販売数を増やすこと

の3つが考えられます。ここで、税金のことは考えずに、これらの要素を同じ

パーセンテージ、たとえば10%ずつ動かすシミュレーションしてみましょう。

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まず、1)価格を10%上げた場合、利益の増加分は当然10%になります。

次に、たとえば原価率80%の場合、

2)原価を10%下げると利益の増加は8%。

さらに、

3)販売数を上げた場合ですが、変動費(売上高に応じて、増減する費用のこと)

も上がるので、意外とインパクトが弱い。

おそらく実際のビジネスでは、価格を10%引き下げた場合は、販売数増加が

10%をかなり超えないとペイできないことが多いでしょう。3つの方法のうち、

最もインパクトが大きいのは価格を上げること。実際には、市場や競合の状況もあるので、

シミュレーションは複雑になりますが、このように各要素の関係性を数字で明らかにしながら、

効率的で論理的な意思決定の支援をするのが管理会計の役割のひとつです」

数字を用いて、比較し、具体的かつ客観的な分析を行うためのツール——それが

管理会計なのである。

管理会計の役割は、大きく分けて2つあるといわれる。

ひとつは前述の価格の例が示すような、

意思決定のためにいかに数字を使いこなすかということ。

これはさらに、長期的に考えるものと、短期的に考えるものに細分化される。

そして、もう一方が、ROI(投下資本利益率)や資本コストなどを用いて、

業績の評価や管理に役立てることだ。

「たとえば、企業が業績を売上で評価するなら、営業担当者は『コストをかけても売れればいい』

と思います。粗利で評価するなら、『粗利が出るものを売ろう』と思うでしょう。でも『交際費は

どんどんかけてもいい』と思うかもしれない。そこで、『交際費を引いた後の利益で評価する』

と言えば交際費をあまり使わなくなります。

このように何を評価するかで、従業員の行動は変わります。そのため、企業全体が目指すべき方向

にベクトルを合せた評価軸を採用する必要がある。その評価軸を、数値を用いることによって明確化

していくのが管理会計の1つのテーマなのです。

ただし、それは部門ごとに適切に行う必要があります。コストダウンが必要な部門も

あるだろうし、研究開発費などある程度のコストをかける必要がある部門もある。

ですから全体の方向性をまず明確にした上で、そのグループ、部門、あるいは個人

にどう動いてもらうかに合わせて、評価軸を変える必要があります。その際にも、

管理会計を用いて数値化することで、部門ごとに何が必要かということがわかり、

目標を適切に設定でき、フェアな評価を下すことができるというわけです」(

また、急速に進行するグローバル化への対応という点でも管理会計を活用すること

は大きなメリットがある。

「グローバル展開が進んでいる企業でも、数値化することで、国を越えて業績

を横に並べて評価できます。ここでも、フェアな意思決定が可能になります。ま

た、戦略や状況を説明する際にも、数値化していると、国や地域の違いがより明確になります」

限界利益率を知ることの重要性

財務会計における、売上総利益(率)や営業利益(率)などでは

企業の真の採算性を知ることができません。

企業の真の収益性や採算性を明らかにするためには、

どうしても、管理会計を導入することが必要となります。

収益性や採算性を明らかにするために用いられるのが、限界利益(率)です。

限界利益(率)は、予算の作成から原価計算まで、幅広く応用され

あらゆる角度から、真の収益性や採算性を明らかにしてくれます。

したがって、管理会計では、真っ先に変動損益計算を作成することになります。

 

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