アメリカ債務上限問題の最新情報と利上げとの関係は?
過去1年半の間、米国の財政政策に関しては比較的平穏な時期を過してきましたが、
それも間もなく変わるかもしれません。
民主、共和両党は来年度予算で対立し続けており、今年の秋には予算審議が行き詰まる
恐れがあると指摘がでてきています。議会は、早ければ10月下旬にも債務上限の引き上げが
必要になるだろうというのが大方の見方です。
どうするか決められずに暫定予算でしのいだ2011年や13年の状況に戻りつつあるとの見方
がでてきている。
財政政策の不確実性を示す指数は昨年、2009年以来最低の水準に低下しました。
これは政府機関の一時閉鎖の混乱を経て、
2013年12月の歳出削減を2年間緩和がこの秋に火種になる?
2013年12月に民主、共和両党が歳出削減を
2年間緩和することに合意したことで生まれた小康状態です。
この財政合意は今年10月1日に失効し、一律強制削減と呼ばれる財政管理法が復活します。
案の定、不確実性指数は6月にかけて13年の政府機関一時閉鎖以来の高水準まで上昇しました。
時間切れが迫り16年度(15年10月〜16年9月)予算案の審議が滞る中、ベイナー下院議長(共和、オハイオ州)は
先週、時間を稼ぐため9月に暫定予算を組む可能性が大きいと認めました。
ただ。アナリストの多くは、政府機関が一時閉鎖される可能性は小さいとみています。昨年の中間選挙で
上院多数派に復帰した際、共和党のマコネル院内総務(ケンタッキー州)は、新たな政府機関閉鎖は
どうあっても避けると言及していました。また、民主、共和両党の主張の違いはそれほど大きくはない。
問題は、米政府が望んでいる強制削減で定められた水準を上回る約740億ドル(約9兆1800億円)の予算増額です。
この予算を軍事費と国内プログラムにほぼ同額配分する内容ですが、これに対し、共和党は軍事費の増額は
すでに受け入れているが、残りについては渋っています。
ホワイトハウスがいまこの問題に決着をつけたい理由の一つは、16年度予算で歳出水準を凍結すると、
大統領選挙の最中に17年度予算を増額するのは一段と難しくなるためです。
それでも一部には、政府機関が一部閉鎖される恐れが高まっているとみています。
共和党の予算決議がネックになる
共和党が今年初めに成立した予算決議での歳出削減を撤回する兆しをみせていないためです。
共和党が考えた10カ年予算案の歳出削減額は、16年から18年にかけての国内総生産(GDP)の2%に相当する
厳しいもので、「短期間での大幅な財政緊縮になる」といいます。こうした歳出削減を進めると、来年には
失業率は0.5ポイント押し上げインフレ率が低下するような経済の障害が生じることになります。
マクロエコノミック・アドバイザーズは「金融政策への影響が極めて大きくなる可能性がある」とし、
連邦準備制度理事会(FRB)は「広く予想される金融引き締めを取りやめ、フェデラルファンド(FF)金利を
再びゼロ近辺に押し戻さざるを得なくなる」とみています。