米国の債務上限問題は今年も共和党反発で再燃か?3月15日は救われたが。
このままならば15日には到達してしまう米連邦政府の債務上限をめぐる政治的駆け引きが
再燃しています。
以前の駆け引きと同様、党利党略と瀬戸際戦略に基づく戦いになりそうです。
米財務省は、現在の上限のままでもその到達を先に延ばす具体的な準備を始めています。
この財務省の緊急対応と歳入が前回の景気後退以来最も多くなる見通しから、
上限の引き上げなしにもある程度の先延ばしが可能なようです。
一部の試算では、ある部分の年金支払いを中断するなどの例外措置を使えば
上限到達を10月ないし11月まで先延ばしできるといわれています。
今回については、上限引き上げの交渉を複雑化させかねない二つの力学が働いています。
今回は上下両院を支配する共和党がその賛否について内部分裂しています。
共和党長老議員らは、デフォルト(債務不履行)転落の脅しをせずに上限を引き上げる
と公約していますがそれは政治的にまずいとみる同党の保守系議員が反乱を起こす様相
です。もう一つは、交渉期間が来年度予算の承認期限の今秋まで続く可能性もあることだ。
オバマ大統領も政権内高官も従来からの立場として上限の引き上げを引き換えとする
予算や政策変更の交渉には応じないとしています。
債務上限の引き上げはつい最近まではほぼ自動的に承認されていましたが、ここ数年は
議会野党が瀬戸際戦略を繰り広げるのが新たな常態となった一昨年のことが記憶に新しいです。
上限引き上げを懸念する保守派議員は、この交渉を財政支出の規律を強めるための
圧力手段として使うようになっている。
15日にも到達してしまう現在の債務上限は17兆2000億ドル(約2090兆円)だが
、議会予算局は今回は上限を18兆1000億ドル程度に引き上げる必要があると試算しています。
上院院内総務のマコネル議員(共和、ケンタッキー州)は、デフォルトの可能性で脅さずに
上限を引き上げると表明していますが、共和党議員らがひとつの可能性として議論しているのが、
予算に関連する一部の措置を単純過半数で成立させる「リコンシリエーション(仲裁)」の手続きに
よる上限引き上げです。
ただ、下院の大半の保守派議員がマコネル上院院内総務ら共和党指導部の市場を混乱させずに
債務上限を引き上げる計画を挫折させる可能性があります。
マット・サーモン下院議員(共和、アリゾナ州)は「いかなる状況でも上限を引き上
げるとはいえない。われわれは何らかの合理的な条件を出せると思う」と話しています。