IFRSのメリットと求められる財務会計基準と企業の対応は

企業の活動がグローバル化していることは今更言うまでもないと思いますが、

企業に投資する投資家もグローバル化が進んでいます。株主総会をめぐる海外

のファンドの動向が新聞紙上をにぎわすこともしばしばです。

投資家は会計情報の利用者、ということになりますが、その立場からすると、

会計基準が国ごとにばらばらだと、異なる基準で作られた損益や資産・負債の

情報を、一手間かけて比較・評価しなければなりません。

IFRS導入メリットは

kaikei

IFRS/国際会計基準の適用の最大のメリットは、世界中で利用可能な単一の

会計基準であるIFRS/国際会計基準を用いて財務報告ができれば、国や企業規模

を問わずに共通のものさしで沢山の企業の実態を把握できるようになる点です。

また、適用まで時間とお金のかかるIFRSで財務報告することで、投資家からの

信頼度は上がり、これにより海外資金調達コストが低下すると考えられています。

 そして、海外子会社を含むグループ全体で同じ会計基準を使用することによる

ガバナンスと業務効率の向上も考えられます。同じ基準で財務情報が集まってくれば、

効率的で適切な資本配分ができ、生産性の高い事業へ資本投下できる可能性を追求

できますし、「多国籍の企業体」を展開していくには、インフラ整備という意味でも、

国際会計基準の適用は重要と考えられるからです。
 適用後の財務報告の効率性においても、海外、例えば米国で上場している場合、IFRS

ベースの財務諸表がそのまま提出でき、わざわざその国の会計基準に置き換える必要がない

ケースが多いと考えられるのも、メリットのひとつだと思います。

最大の違いは、日本基準が規則主義で、損益決算書(以後、P/Lとします)

を重視するのに対し、IFRSは原則主義、そして貸借対照表(以後、B/Sとします)

に重きを置く点です。日本基準は、経済ニュースでも分かるとおり、赤字・黒字、売上

などとP/Lの数字からレポートされるのに対し、IFRSは包括利益といった、B/Sの数字が

どうだったかに注目します。

IFRSの導入が経営に与える影響にはどういうことが考えられますか

 

注記の開示により、経営者判断や選択の説明責任を今まで以上に求められる
本業中心の経常利益重視の経営から非経常的な損益を含めた包括利益重視への転換
業務プロセスの変更とそれに伴う会計システム・業務システムの変更
グループマネジメントの実態が明確になるため、グループ経営を強化する仕組みの構築
原則主義への対応のための具体的な判断規準や数値基準の決定と開示の要求
時価評価がベースであるIFRSによって、M&Aが活発化することへの対応
時価の測定と評価に対応するインフラの整備
IFRSが経営に与える影響に対応するための企業内専門家の養

 

 

会計も国際化が求められている

これは不便極まりないことで、こうしたことから会計基準の国際的な標準化、

統一化が望まれるようになりました。

一方で、現在の日本の会計基準。これはもちろん日本独自のものです。

しかしそうした背景を踏まえて、日本でもこのまま独自基準を守っていくだけでは

投資家に対して日本市場の魅力は落ちていってしまうとの危機感から、ヨーロッパを

中心としてその採用が決まっていったIFRS(International Financial Reporting Standards 国際財務報告基準)

に日本会計基準を近づけていく方針を金融庁は打ち出しました。

 

IFRSで求められる会計基準の中には、経理部門が仕訳や財務諸表の表示を変更して

対応すれば済むものもありますが、事業部門の業務や情報システムへ影響を与える

ものもあります。 表3にいくつか日本基準と異なる処理が求められるものを示して

いますが、たとえば売上の計上基準については、よく取り上げられるように原則と

して検収基準での計上が必要となります。

IFRSで求められる会計処理の主な内容

この売上基準の根拠は、「所有に伴うリスクや経済価値が買手に移転された時点で収益を計上

すること」、というIFRSの原則にあります。つまり、工場や倉庫から出荷しただけ

では所有リスクや経済価値が買い手に移転していないので、売上計上できない、

ということです。企業が売上計上をIFRSどおりに実施するためには、現状の売上計上

に関するプロセスを洗い出し、どのケースなら計上してよいのか分析することが必要に

なります。売上計上に関する自社の基準・原則を定義して、こういうケースは計上可能、

というルールを明確にし、そしてそれを日本国内のみならず、海外の子会社に対しても

遵守・計上の整合を図る必要があるのです。売上の計上は、親会社でも事業部によって

さまざまな取引があり、さらに子会社では業種・業態が異なったりすることも多く、

現状を整理・分析するだけでもかなりの労力がかかるものと思われます。

内部統制の業務プロセス分析と似ているようですが、内部統制では対象プロセスや事業

を重要性の観点から絞り込むことができました。しかし会計基準では、原則としてすべて

の業務が対象になります。その点では内部統制のときより大変です。 売上計上を考えただ

けでこの状況ですから、固定資産の処理、リース資産の扱いなど、その他多くの取引について

対応することを考えると、金融庁の言う3年の準備期間というのもかなりぎりぎりの猶予期間

かも知れません。

 

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