イエレンFRB議長発言の真意を予想する。

ジャクソンホールで開かれたイエレンFRB議長の講演内容
はどのように理解されたのであろうか。

大方の見方は、米国経済、労働市場に回復の兆しはあるのの、
イエレンFRB議長がよく指摘する労働市場スラッグは存在し
賃金上昇に至っていない、という大方の見方は変わっていない
ということです。

ただ今回のジャクソンホールでの講演では、4月のニューヨーク
のエコノミッククラブで行われた講演と違っている部分があります。

それは、4月の講演では、雇用不足の問題が低金利政策を長期化
させることを余儀なくさせる、というのが主な主眼でした。

しかし、今回の講演では、FRBの雇用とインフレ目標に実態が予想
以上のペースで近づいてきた場合には、予想よりも早く利上げに
踏み切る可能性があることを言及しています。

また、賃金の伸び悩みが示唆するほど、労働市場にはスラッグが
ない可能性も指摘しています。

景気低迷期に経営者が賃金を下げることができなくて、労働市場が
タイトになりつつあるなかでも、賃金を上げることがでない、
「遅れてきた給与デフレ」を引き起こしているのではないか、と
指摘しています。

この「遅れてきた給与デフレ」というのは、今回の講演で出てきた
新しい概念です。

ただ、これでイエレン議長が労働市場のスラッグの考え方を変えた
ことにはならないと思われますが、4月の講演内容からは、より
柔軟性を効かせようとするバランスをとったものであると思われます。

7月のFOMC議事録であったように、一部のメンバーのタカ派発言
はこうした経済状況が予想以上に好転しているときには、今までの
発言にとらわれないフリーハンドをもっていることを主張している
ように思われます。

当たり前の話ですが、金融政策は経済状況によって変わるということ
を、改めて強調したことが、今回のジャクソンホールでの講演と
前回の講演との違いだと思われます。

言いかえれば、イエレンFRB議長にも、予想していなかったペース
での回復が起きていることを認めざるおえない状況が起きつつある
ということを市場も準備しておくべきだということだと思われます。

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